2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

30年前のある夏の日

残暑の厳しい夏の終わりのころだったと思う。体育館に集められたN小学校の生徒たちは、戦争で手や足を失った人たちのライブを聴くことになった。一曲終わるごとに戦争がどれだけ悪いことで、どれだけダメなことかを我々小学生に訴えながら、陽気な曲で我々会…

8月8日

私は物心がつくのが遅かった。小学生になってもまだ私の世界は薄皮で覆われたようにぼんやりしていて、色々な記憶が残り始めるのは、ようやく9歳頃からだと思う。私は勉強的にはある程度優秀な子どもだったが、世界や人間というのがあまりよくわかっていなか…

記憶

ナビに指示されるままにぼんやりと運転をしていて、ふと気づいた時に胸が締め付けられるような圧迫感を感じて、そしてすぐに気づいた。この道は、あの日、4年前のあの日、絶望的な気持ちで車を走らせて、このまま死ぬことが出来たらどんなに楽だろうと思いな…

40を目前に

数週間前に38歳になった。立派な中年だ。でも全体から見ればまだ若いほうなんだろう。今までの人生、ずいぶん脱線が多かったような気がするが、それでも私の職場を見回すと私はまだ若手の部類で、あまり年下はいない。私の趣味のカメラも、私より若い人で私…

普通であれるというオプション

どういう経緯でその記事を見たのかは忘れたのだけど、ある作家がモデルと結婚したという話で、そしてその馴れ初めのあたりがつらつらと書かれている記事を読んだ。その時に少し違和感を感じて、その違和感の正体を考えていたのだけど、カレーを作っている最…

論文書き

今年に入って二本連続で論文が不採用になった。出したところが両方「日本ほにゃらら学会」だから、一番デカい場所に出して落ちたわけで仕方ないのは仕方ないのだけど、落ちるとは思ってなかったので驚いた。多分好き勝手なことを書いたからだろうと思う。や…